現代において、日常生活の中で写真を撮ることはごく当たり前となっているが、写真撮影の歴史において、日常の写真が撮影されるようになったのはいつからなのだろう?
世界最古の写真は1827年にさかのぼる(上の写真)。これは初めて後世まで残る写真が誕生した日でもある。
この写真の撮影者ジョゼフ・ニセフォール・ニエプスは、1825年には自分で編み出した写真製版法を使った独自の撮影方法を開発していた。ここでは世界初と言われる9の写真を見ていこう。
1. 最初に人をとらえた写真(1838年)
フランスのアーティスト、ルイ・ダゲール(1787〜1851年)は、ダゲレオタイプ(銀板写真)という最初の実用的な写真技術を発明した写真家で、写真術の父とされている。1838年にパリのブールバードデュ寺院のある通りを撮影したところ、偶然にも通りで靴を磨いてもらっている人物が写り込んだ。
この人物はしばらくじっと動かなかったため、十分に露出時間がとれてうまいこと写真にとらえられたらしい。靴磨きとこの客以外は通りには誰もおらず、本来ならば交通や歴史の一瞬になるはずもない人の往来でにぎわっているはずの通りが、不気味に静まり返っているように見える。
2.世界初の自撮り写真(1839年)
学校で化学に特別な興味を示していたコーネリウスは、アメリカ人発明家のジョゼフ・サクストンによってダゲレオタイプのための銀板作りについて知った。
コーネリウスは当時、まだ未知の概念だったこの技術を完璧なものにしようとした。1839年10月ごろ、この未来の写真家は家の店の前で自分自身の写真を撮り、これが自撮り写真第一号となった。
3.世界初の気球を使った航空写真
ドローンカメラ以前、気球を使った航空写真があった。"ワシとガンが見たボストン"と名づけられたこの写真は、空から撮った初期の航空写真として現存している。
高度2066フィート(630メートル)から撮られたこの画期的な写真の陰には、勇敢なジェームズ・ウォレス・ブラックとサミュエル・アーチャー・キングがいた。
これ以前にもフランスの写真家で気球乗りのフェリックス・ナダールによる航空写真があると言われているが、残念ながら彼のカメラ機材や写真は空から無事に戻ってくることはなかった。紛失したままで、証拠として残っていない。
この写真が撮られたわずか2年後に、バージニア州の半島方面作戦で南部連合の部隊をスパイするために北軍が気球を使って撮影を行った。
4. 約170年前のニューヨークシティ(1848年)
人や車の行きかうにぎやかな大都市ニューヨークシティならよく知っている。それが、1848年にさかのぼると、現在とはまったく違うニューヨークのダゲレオタイプ写真を見ることができる。
マンハッタンのアッパーウェストサイドと思われるエリアは、こんなに牧歌的な風景だったのだ。こんな穏やかな風景から、高層ビルが立ち並び、人や車がひっきりなしに行き交う今日のニューヨークの町を想像できるだろうか?サザビーズはこの写真を5万〜7万ドルの価値があると見積もった。
5.世界初のねつ造写真(1840年)
現代のデジタルツールを使えば、真実ではないものを本物だと人に思わせるよう、いとも簡単に写真を改ざんすることができる。
昨今、捏造や悪ふざけの写真がたくさん出回っていて、騙される人もほとんどいないが、それではこうした捏造写真を始めて作った人は誰だったのだろう?
写真術のパイオニアを競う激しいせめぎ合いの中、イボリット・バイヤールはある意味一歩先を行った。ライバルのルイ・ダゲールのせいで、フランス科学アカデミーに自分の発明を発表できなくなったバイヤールは、過激な行動に出た。
溺死体を装って自殺写真を捏造し、こうなったのはダゲールとアカデミーのせいだと非難したのだ。
バイヤールは写真のパイオニアにはなれなかったが、1840年に世界初の捏造写真を作った男として歴史に残った。
この写真の裏には次のように書かれている。"これは写真法の発明家バイヤールの遺体。この飽くなき開発者は長年自分の発見に専心していたのに、アカデミーはダゲールにばかり注目し、バイヤールを無視したため、この哀れな男は入水自殺した。人の人生などわからないものだ!"
6. 世界初の太陽の写真(1845年)
ハッブル望遠鏡やほかの宇宙望遠鏡が出てくる以前に初めて撮影された太陽の写真。1845年4月2日、フランスの物理学者レオン・フーコーとルイ・フィゾーが、ダゲレオタイプで初めて太陽の写真を露出60分の1秒で撮影した。
よく見ると、いくつかの黒点も写っている。肉眼で見ても太陽が空で強烈に光り輝いているのは一目瞭然だが、だからこそこの写真を見れば、その華々しい光をとらえた瞬間の様子を体感できる。
7. 竜巻をとらえた初期の写真
一見、この写真は昔の映画『オズの魔法使い』を思わせるが、当たらずも遠からじだ。カンサスの地元の果樹農園業でアマチュアカメラマンのA・A・アダムスが、自分の箱型カメラで、22キロも離れたところから自然のとてつもない威力を撮ったもの。
本人はおそらく知らないだろうが、彼は未来の竜巻の追っかけの走りだろう。
アダムスは土産としてキャビネ版や立体写真としてこの写真を売って儲けようとしたくらいだったのだから、この写真の価値がいかに高いかわかるだろう。
8. 世界初のニュース写真(1847年)
1847年にフランスで男が逮捕される場面を撮ったもので、ニュースのために撮られた、初めての報道写真だと考えられている。
警官も被疑者も、プライドと達成感のようなものが表情に表れていて、まるで自分たちが歴史の瞬間になることがわかっていたかのようだ。"カメラに向かって笑って"と誰かが初めて叫んだ瞬間でもあるかもしれない。
9.世界初の飲み会写真(1844年)
グルーピー、自撮り、パーティ写真はここから始まった。古い写真では、みんなが一様に重々しい表情をしているのに気がついたことはないだろうか?
カメラに向かって笑ったり、おかしな顔をしたりする人はひとりもいないかに見える。もちろん、当時は片手にカメラ、片手に飲み物のグラスを持って自撮りするのは簡単なことではなかった。
1844年のエジンパラエールのこの写真は、写真家のデイヴィッド・オクタヴィアス・ヒルが、画家で詩人のジェームズ・バランタイン、コミッショナーのジョージ・ウィリアム・ベルと一緒に飲んでいるところで、友人同士がリラックスして酒を酌み交わして楽しむ息抜きの瞬間がとらえられている。これは、現代のわたしたちが、飲み友だちと出かけ、一緒に写真を撮るのと同じだ。
via:widewalls / Written by konohazuku
▼あわせて読みたい
世界で始めて写真に写った人(1838年)
世界初のテレビゲームのプレイ映像(1958年)
宇宙写真からねつ造、コラまで。カメラがとらえた歴史の瞬間、初めての写真
ネタじゃないよマジだよ。見学者の写真をばっちり撮ってくれる世界初のタコのフォトグラファー。(ニュージーランド)
世界中にでまわり、信憑性が高いといわれている有名な26枚の心霊写真
コメント
1. 匿名処理班
毎日の出来事を撮り続けてれば
行為を写した初めての人になれるかもしれない
2. 匿名処理班
こんだけイケメンなら自撮もしますわ
3. 匿名処理班
人類最古の自画撮りは、随分と怪訝な顔をしてるんだなw
4. 匿名処理班
自殺のねつ造写真って本人が生きてたらバレバレなのに何考えてたんだろうか。
5. 匿名処理班
No.1の説明がヘンテコだな。
動きが速いと写らないとしているのに、写真に写っていないから通りには誰もいなかったは十分な裏付けにならないのでは。
それに靴磨きの右側にテーブルを前に座っている人のようなものが見えるが違うのだろうか?
6. 匿名処理班
世界初の自撮りが真面目な顔なのは
当時は一時間くらいじっとしてないとぶれるからだろうな
しかしシャツの着崩し方とかちょっと横を向いてる感じから自分イケメンってわかってる奴の写り方だわ
7. 匿名処理班
1番目写真はキリコの絵みたい
8. 匿名処理班
さすがに最初の人を写した写真は
カメラが発明されてすぐの頃に
じっとしてれば人も撮れるか試してみた物があると思うけどなぁ
見つかってないor失われてしまっただけで
9. 匿名処理班
捏造してまで自分の存在を主張したかった人なら
捏造の世界初でも歴史に名を残せたことを
あの世で誇ってそうだな。
10. 匿名処理班
※6
君は写真の技術の説明とその結果撮れた写真の感想をごちゃ混ぜに読んでないかい?
11. 匿名処理班
初めてカメラから太陽を覗いた人は大丈夫だったんだろうか
12. 匿名処理班
日本初の自撮り写真は徳川慶喜だろうね。
自分でカメラセッティングしてポーズ取って撮影するぐらいのカメラ好きで、カメラでその当時の風景も撮っていたので、この慶喜さんのおかげで歴史的資料も結構残ってる。
13. 匿名処理班
ニューヨークの写真、絵本の「ちいさいおうち」みたい。
14. 匿名処理班
1の「ブールバードデュ寺院のある通り」は「タンプル大通り」と訳すのが普通だな。
賑やかな劇場街だったので、止まっている2人しか写ってない状態がおもしろいというわけ。
15. 匿名処理班
最古は聖骸布じゃないか?
16. 匿名処理班
自撮りイケメンやん
17. 匿名処理班
※6
俺はひどい乱視で小説の文が良く読みとれない経験をしたことがある
あなたも一度眼下か眼鏡屋で検査をすることをすすめる
18. 匿名処理班
150年以上前からキメ角度が存在していたのか…!
19. 匿名処理班
昔の人の写真に頬杖をついている人が多いのは、露光時間が長かったから同じ姿勢を保つ為だと聞いたことがある。
でも、最初の自画像は、頬杖なんかついていないね。結構、直立不動でキツかったりしたのだろうか?
20. 匿名処理班
昔の日本では中岡慎太郎が、非常にリラックスした、白い歯を覗かせた笑顔の写真を残しているね。ポスター持ってるのだが、まさにイケメンのブロマイドといった感。撮るのに時間かかったはずなのに、どうやってあの笑顔をずっとキープしたのだろうか。
21. 匿名処理班
写真を撮られるのが恥ずかしくて大嫌いだったけど、
私も頑張って百年先に魅せる笑顔を残そうと思った。
22. 匿名処理班
ふと、最近自分の写真を撮ってない事に気付いた
レストランで食い物ばっかり撮ってSNSにアップしてる場合じゃないな